「こんなん、家帰してもろくに絃くん、看病してもらえない!」
今まで見たことないくらいぷんすかぷんすかしている。
確かに、体調崩してもさほど気を遣われたことはないけどさ…。
「沙夜ー、彼氏の親御さんなんだからさー」
「だって酷くない?」
「まあ…うーん」
キッチンで俺の夕食作りをしているママさんが、困ったように話している。
「お風呂!入ってくる!」
「ひとっぷろ浴びて、一旦落ち着きなー」
沙夜ちゃんは相変わらずぷんすかぷんすかしながら、リビングを後にした。
20分くらい経っただろうか。
沙夜ちゃんがお風呂上がりの格好でリビングに戻ってくる。
なんとなく顔は怒っているけど。
「沙夜まだ怒ってんのー?」
「絃くんは国宝だから、大事にしないといけないの!」
「ああもう国あげて大事にしないといけないんだ」
ママさん、この子変なこと言ってるんだけど、変だなーとか思わないんですか?
俺はもう慣れましたけど。
顔面国宝って、もう学校中で言われてるらしいんで。



