俺は母親に電話をかける。
「あんたどこほっつき歩いてんの!」
開口一番、耳がキーンとなる。
「ああ…あの、彼女の家いて…」
「はあー?」
「彼女の荷物重たかったから、家まで送ったんだけど、疲労でぶっ倒れて、お世話になってる…」
「よく分からないけど、ご迷惑だから帰ってきなさい!」
頭に響いて、頭痛がする。
この38℃後半の熱、立ちくらみ、倦怠感、悪寒で、電車乗って帰れと。
自宅に車は無い。
タクシー代なんて出してくれないだろう。
泣くぞ…。
もう三倉家に婿入りしようかな。
涙目になっていると、沙夜ちゃんがイライラした様子でスマホを雑に奪ってきた。
「あの!絃くんの彼女の三倉沙夜です。いつもお世話になっております!」
言葉は丁寧だが、語調がかなり強い。
「電話、聞こえてました。ご迷惑?39℃近い熱出して、電車で帰って道中で倒れられる方が迷惑ですし、大事な彼氏を労るの当たり前じゃないですか?」
大事な彼氏…。
「ってなわけなんで、熱下がるまで家にいてもらいます。では!」
俺の母親がモゴモゴ何か言っているのを無視して、沙夜ちゃんは電話をブチっと切る。
んー、今後の嫁姑問題大丈夫かなこれ。



