「んー…」
「隣、歩いてほしい」
校門前で悩む沙夜ちゃん。
「なんで昭和スタイルなの?」
「…なんていうか」
「うん」
「言いたくない…」
俺の横は恥ずかしい?とか?
「話しにくいし、せっかく恋人なんだから、隣歩いてほしいな。無理に、手繋ごうとか、まだ言わないようにするからさ」
「…分かった」
そう言って俺の横についた。
そうこなくっちゃ!
例のショッピングモールに着くまで、俺が何も言わずとも、ちゃんと隣を歩いてくれた。
手を繋いでくれなくても。
腕を絡めてくれなくても。
まだ急がなくていい。
沙夜ちゃんは、ずっと俺の彼女なんだから。
雑貨屋さんに入って、沙夜ちゃんの好みをリサーチする。
クマちゃんのスタンプこないだ使ってたっけ。
「クマちゃん好き?」
「うん」
「これとかどう?クマちゃんのぬいぐるみストラップ」
「可愛いね」
早速食いついた。
彼氏が付ける方は王子様のような格好、彼女が付ける方はお姫様のような格好をした、クマちゃんのぬいぐるみストラップ。
手にマグネットがついていて、近付けるとくっつく仕組みになっている。
「これにする?」
「気に入った」
「じゃあこれにしよ!」
お互い、リュックに付けていかにも高校生カップル感が出る。
沙夜ちゃんと?
はあ…幸せかよ。



