案の定電車は座れず、なかなかしんどい。
はあー、2日間しっかり寝て休もう。
沙夜ちゃんの家に近付くほど、人がまばらになりつつあるが、2人並んで座れるほどは空いていない。
「沙夜ちゃん座ったら」
「でか重荷物持ってるんだから、絃くん座りなよ」
「女の子立たせて、我先に座る彼氏がいるもんですか」
「んー…」
苦虫を噛み潰したような顔で困る沙夜ちゃん。
「じゃあ私が荷物持つー?」
「本末転倒」
俺の存在意義教えて、それは。
結局座ることなく、三倉家の最寄り駅に着く。
はっ、はっ、重たい…。
顔には出さないけど、ちょっとこれしんどいぞ。
いつもの5分の2くらいしか、もう体力無いかも。
「地元着いたら、一気に気抜けてどっと疲れ来たね」
「うん…」
彼女の自宅まで大した距離はなかったけど、すごく長く感じた。
俺の家とさほど変わらない、2階建ての一軒家。
弟いるから、少し広いのかな?
ああ…親御さんいるのかな。
この状態で気遣って挨拶するの、無理あるって。
軽く目眩がしだした。
沙夜ちゃんが玄関の鍵を開ける。
中に少しだけ入って、ボストンバッグを渡す。
「ん、ここまでで大丈夫。ありがと」
「いえいえー。じゃあね、また来週」



