翌朝。昨日と同じく、8時に駅に行くと沙夜ちゃんがいる。
「え、沙夜ちゃん…」
「おはよ」
「おはよう!待っててくれたの?」
「…まあ」
飛び回りそうになった。
約束なんてしてないのに。
待っててくれた…!
口角が緩む。
好きだって…!
「沙夜ちゃん好き…!」
彼女は困ったように微笑んだ。
「放課後デート、今日リベンジしていい?」
「うん。昨日は帰っちゃってごめん」
「俺もごめん、つい調子乗っちゃった」
さりげなく沙夜ちゃんの隣をキープしながら登校。
そして放課後。穂華と沙夜ちゃんが話していた。
「沙夜ちゃん?行こ、デート」
「あたしのこと見えてないんか」
「恋は盲目って言うからね」
穂華がじとーっとした目線を送ってくる。
今日は沙夜ちゃんに無理なことはしない。
「穂華ちゃん、またね」
「沙夜、楽しんどいで!」
「うん」
ここからは沙夜ちゃんを独占できる。
最高かよ。
「…で、横は歩いてくれないの?」
なんかもう慣れてきたまであるこの距離感。
慣れたくない。
隣を歩いてほしい。
欲を言えば、手を繋ぐとか、腕に巻き付くとかだってしてほしい。



