立ち上がってリュックを背負った沙夜ちゃんの手を、そっと握ってみた。
沙夜ちゃんの小さい手が、俺の男の大きい手に包まれる。
可愛い。
小さすぎ。
守りたい。
そう思っていると、彼女は繋がれた手をじっと見つめていた。
「デートだしさ?ね、いいでしょ?」
彼女は黙り込んでしまった。
硬直状態というか、頭真っ白になってそうな顔で。
照れているともまた違う感じ。
「沙夜ちゃん?」
「…帰るっ」
ハッとしたような感じで俺の手を払って、走って教室を出て行ってしまった。
少し押しすぎてしまったか。
俺のこと、好きなんて聞いてないのに。
自分の気持ちばかり押し付けてさ。
肝心の沙夜ちゃんの気持ちは?
考えてたかなって。
でも、離れていくのが怖い。
いい塩梅が分からないよ。



