「好きです、付き合ってください」


王道な告白場所の校舎裏で、これまた王道な告白文句を目の前の女の子に伝える。

沙夜ちゃんという。

同じクラスの女の子。

気まずい沈黙が続く。

沙夜ちゃんの気持ちが分からない。

その子はただ優しく微笑んで俺を見つめる。


「ダメ…かな」


返事を急かすように言葉を続けた。

たった1秒が長く感じる。

心臓の鼓動が爆音過ぎて、全身が心臓になったように鳴り響く。


「あの…」

「うん」

「返事…聞かせてほしい」

「いいよ」

「ほんとっ?!」


鈴が鳴るような可愛らしく小さな声で、沙夜ちゃんは答えてくれた。

体がふわふわするような、幸せな感覚が全身を覆う。

沙夜ちゃんはただ優しく微笑んでいた。

俺は思わず彼女を強く抱き締めた。


「絶対離さない…!」


沙夜ちゃんに、そう誓った。