私は未来を知る苦しみを味わっている。


『センパイへ』

 そして、私は彼の書いた一文を見つけた。

「ひっく、ぐすっ」 

 私は、君の遺した言葉を読み、力なく崩れ落ちた。

 涙が彼の私物を濡らしてしまう。慌てて机の上に置き、嗚咽を噛み殺す。

 喉の奥がひきつれて、まともな息ができない。

『センパイへ』

 ーーその一文に込められた想いが、鈍器のように胸を打つ。まさか、こんなことを考えてくれていたなんて。

 あの最期の瞬間まで、私のことばかりを。

 ごめんなさい、本当にごめんなさい。

 私は、君の匂いが残るこの部屋で泣きじゃくっていた。

 私は高木柊。つい先日、想い人となっていた一人の男の子を失ったところだ。