魔族の王子の進む道 〜俺様王子が魔王になるまで〜

「許せ……私は、お前になんということを。何と思われても仕方がないのに……」

　彼は下を向きゼラに詫びる。
　しかし彼女は、彼を見て呆然としながら言った。

「……王子様ぁ、あたしを助けてくれた兵士様は、いったいどこに行っちゃったんですか？？　」

　またしてもこんな時にまで娘の呑気な質問。

「……嘘だろう？　」

「ゼラったら……」

　彼は深いため息をつき、母親は苦笑しながら娘を抱き締めた。


「ゼラ……！！　おお、おぉ……こんな、お前を二度もこんな目に合わせてしまうなんて……」

　集落に戻ると、族長が真っ先に走り寄ってくる。

「ギダ様ぁ！！　」

　涙を流しながら抱き締める族長の腕の中で、ゼラは皆のもとに戻れた喜びを満面の笑みで噛み締めているようだった。