早急の命令で翌日、彼の元に一匹の低魔族が連れられてきた。
小さめな身体に赤い肌、頭から突き出た小さな二本角。どうやら“成人”前の『小角族』の娘のよう。
粗末な服を身に着けてはいるがニコニコと人懐っこい笑顔を絶やさず、幼い頃の第二王子を思い出させた。
「王子様があたしを呼んだって言うので、ここに来ました! 」
「…⋯これはまた、頭の悪そうな」
思わず彼は顔をしかめる。
城にいる周りの皆は、これ以上の怒りを買うわけにはとピリ付いている。
しかしそんな中でこの娘ときたら、空気が読めないのか何か策があるのか、呑気に笑っているだけ。
「ライ王子様、」
その言葉を聞き、周りの者たちは内心、大変焦った。
『ライ』というのは、幼い頃に第二王子が彼を呼んでいたときによく使っていたもの。
彼はその呼び名が嫌いだったらしく、怒りを含みながら、『兄上』と呼ぶよう訂正していたのだった。
「ラインデンドだ…⋯!! 」
周りが予想した通り、彼は怒りを隠そうともせず訂正する。
「ら、ライ…⋯? ライ、デン〜……」
相変わらずの呑気さで、娘は彼の名を必死に呼ぼうと練習を始めた。
小さめな身体に赤い肌、頭から突き出た小さな二本角。どうやら“成人”前の『小角族』の娘のよう。
粗末な服を身に着けてはいるがニコニコと人懐っこい笑顔を絶やさず、幼い頃の第二王子を思い出させた。
「王子様があたしを呼んだって言うので、ここに来ました! 」
「…⋯これはまた、頭の悪そうな」
思わず彼は顔をしかめる。
城にいる周りの皆は、これ以上の怒りを買うわけにはとピリ付いている。
しかしそんな中でこの娘ときたら、空気が読めないのか何か策があるのか、呑気に笑っているだけ。
「ライ王子様、」
その言葉を聞き、周りの者たちは内心、大変焦った。
『ライ』というのは、幼い頃に第二王子が彼を呼んでいたときによく使っていたもの。
彼はその呼び名が嫌いだったらしく、怒りを含みながら、『兄上』と呼ぶよう訂正していたのだった。
「ラインデンドだ…⋯!! 」
周りが予想した通り、彼は怒りを隠そうともせず訂正する。
「ら、ライ…⋯? ライ、デン〜……」
相変わらずの呑気さで、娘は彼の名を必死に呼ぼうと練習を始めた。



