しかし彼女は、そんな彼を見て真面目な顔。

「きっとお仕事いっぱい。大変なのに、この世界のみんなを強い魔力で守ってくれてるんですよ〜? それなのに行方不明の弟王子様の心配までして。あたしだったらもっと混乱しちゃうと思います。あたしには出来ないから、すごいなって!!」

「……。」

 世界を見守ることは、両親から力を買われてやっていた義務。弟には出来なかったことの一つ。
 世界を魔力で包み、見通す為の力。

 そばで見ていた弟はそれを、目を輝かせて凄いと言ってくれた。
 自分自身はやりたくてした事でもないのに……

 娘は目を伏せて続けた。

「励ましたかったのに、あたしじゃダメだったんです。王子様、きっと私じゃ嫌だったんです……。弟の王子様じゃないと、そばにいてほしくなかったんじゃないかなって。だから森まで探しに行ったのに……」

「馬鹿な……」

 彼は呟く。

 何も知らないくせに余計な事をした彼女。
 しかし弟がもう帰っては来ないことを、自分は周りに何も言わなかった…

「そうですね。バカなんですあたし、きっと。……でも弟の王子様が見つかれば、きっと喜んでくれます!それにきっと今度こそ、弟の王子様が見つかりますよ!!」