「……衝動とはいえ娘に八つ当たろうなど、本当に我ながらなんと馬鹿なことをしたものだ」

 さらに娘の早とちりとはいえ、娘が森に入った原因もやはり自分。
 全て自身が、周りに打ち明けずに行動した結果だった。

「兵士様、私どもの娘を助けて頂き本当にありがとうございました!! 貴方様が助けて下さらなかったら、今頃この娘は……! 」

「あ、あぁ……」

 危なく自分が今、”城の兵士”としてここにいる事を忘れるところだった。
 王子自身が直々に娘を捜索に出たのもまた、内密だったのだから。

「ゼラ、お礼を言いなさい。兵士様が倒れたお前を森の中から見つけ、助けて下さったんだ」

「そうなんですね! 兵士様、ありがとうございましたっ!! 」

 娘は先ほどまでぐったりと身体を横たえていたとは思えないほどしっかりと立ち上がり、礼儀正しく頭を下げた。