自らも初めて踏み入る迷いの森。
幼い頃から、『入れば迷い、魔力尽きる』と言い聞かされてきた。現に、森に踏み入れて戻ってきた者などいない。
「私が、あんな小娘の為に……」
とはいえ、自分は次期王。
この緊急時、差別や区別など許されるはずも無い。
ましてプライドの高い彼は、誰にも出来ないと言われ、自分までも安全へ籠もることなど出来るわけが無かった。
魔力の込められた鎧などの防具、剣を携え、兵士姿の彼は森に足を踏み入れた。
魔樹の胞子はもう、濃い霧のように彼の視界を奪う。
「……なぜあの娘はこのような場所に? 村に帰るには通らぬ場所のはず。自決を考えるほどに賢いわけは無いはずだ……」
この森に自ら入るということは、自我を忘れてしまった末に入り込み迷ったか、自らの魔力を全て捨て無に還る…要するに『自殺』を考えた時くらいなもの。
「……どちらにせよ見つけられねば、私が殺したようなものだ」
胞子により自分の感覚が乱され魔力に上手く注ぐことができないほどの中、彼は夢中で森を分け入った。
自慢の翼も使えないほど草木は鬱蒼と茂っている。
強い魔力を持った彼は今まで物事を全て無難にこなして来られたたため、ここまでなりふり構わなくなることは無かった。
「娘! どこにいる!? 」
返事など出来るはずもないのは分かっている。それでも、声を出さずには居られなかった。
幼い頃から、『入れば迷い、魔力尽きる』と言い聞かされてきた。現に、森に踏み入れて戻ってきた者などいない。
「私が、あんな小娘の為に……」
とはいえ、自分は次期王。
この緊急時、差別や区別など許されるはずも無い。
ましてプライドの高い彼は、誰にも出来ないと言われ、自分までも安全へ籠もることなど出来るわけが無かった。
魔力の込められた鎧などの防具、剣を携え、兵士姿の彼は森に足を踏み入れた。
魔樹の胞子はもう、濃い霧のように彼の視界を奪う。
「……なぜあの娘はこのような場所に? 村に帰るには通らぬ場所のはず。自決を考えるほどに賢いわけは無いはずだ……」
この森に自ら入るということは、自我を忘れてしまった末に入り込み迷ったか、自らの魔力を全て捨て無に還る…要するに『自殺』を考えた時くらいなもの。
「……どちらにせよ見つけられねば、私が殺したようなものだ」
胞子により自分の感覚が乱され魔力に上手く注ぐことができないほどの中、彼は夢中で森を分け入った。
自慢の翼も使えないほど草木は鬱蒼と茂っている。
強い魔力を持った彼は今まで物事を全て無難にこなして来られたたため、ここまでなりふり構わなくなることは無かった。
「娘! どこにいる!? 」
返事など出来るはずもないのは分かっている。それでも、声を出さずには居られなかった。



