「全く、どこの愚か者だ? 足を踏み入れるなと、立て札に書いてあったはずの森に入ったのは……」
魔族の城の奥に、大きなソファー以外何も置かれていない殺風景な部屋がある。
ここは歴代の王が要務として魔力で魔界を見渡すための部屋で、そこに王子である彼の姿はあった。
並の者の魔力ではこの部屋でも、遠目で何かしらの姿しか見えない。
しかし彼の魔力は数段上。
見ようと思えば魔界中をこと細かに見渡せるほど。
その彼が魔力で見たものは、先ほど追い出したはずの娘が森の中で傷だらけになり倒れゆく姿だった。
「……お前たち、森に入った愚か者がいる。早急に森から摘み出せ」
「はっ……! 」
しかし城の兵達が森に辿り着いた時には、すでに近寄る者の体力を奪う“魔樹の胞子”が充満していた。
娘の方が体力は上で、恐らく今頃は森の奥。
いくら屈強な兵士達でも、自らの身を守るための魔力がこの不思議な森の中でどれほど続くかもわからない。
魔族の城の奥に、大きなソファー以外何も置かれていない殺風景な部屋がある。
ここは歴代の王が要務として魔力で魔界を見渡すための部屋で、そこに王子である彼の姿はあった。
並の者の魔力ではこの部屋でも、遠目で何かしらの姿しか見えない。
しかし彼の魔力は数段上。
見ようと思えば魔界中をこと細かに見渡せるほど。
その彼が魔力で見たものは、先ほど追い出したはずの娘が森の中で傷だらけになり倒れゆく姿だった。
「……お前たち、森に入った愚か者がいる。早急に森から摘み出せ」
「はっ……! 」
しかし城の兵達が森に辿り着いた時には、すでに近寄る者の体力を奪う“魔樹の胞子”が充満していた。
娘の方が体力は上で、恐らく今頃は森の奥。
いくら屈強な兵士達でも、自らの身を守るための魔力がこの不思議な森の中でどれほど続くかもわからない。



