「…頑固ですね」
「お前には負けるよ」
その返しに高田君が小さく笑う。
「…そう、ですね」
彼は長いため息を吐いた後、諦めたように語り始めた。
「湯木君と比べるつもりは微塵もありませんが…僕も味気ない日々を送ってきました。エリート一家の次男として、勉学に励む毎日です」
くいっと眼鏡のブリッジを指で押し上げながら、高田君が続ける。
「父は病院の院長、母は看護師でどちらも高学歴。兄も有名大学に通っていて…僕も期待に応えるため、最も偏差値の高い高校を受験しました」
淡々とした口調。
だけど少しだけ、悲しげに聞こえた。
「だけど…受験は失敗し、滑り止めの高校に通うことになりました…分かりますか?家族の期待を裏切ってしまった僕の気持ち。…最悪でしたよ」
穏やかな顔で語る高田君の声が、震えている。
轟君何も言わず、ただ静かに話を聞いていた。



