「む、虫が…!!虫が!!」
聞こえてくる羽音すらも無理なのだろう。
バタバタと落ちつきなく体中を払いのける高田君。
轟君が近づき、高田君の両肩を掴む。
「高田、しっかりしろ!もう虫は出てこない!」
その言葉に、高田君は荒い息のまま轟君の目を見た。
そして、数回ほど深呼吸をしてから眼鏡のブリッジを上げる。
「…すみません…取り乱しました…」
「…もう、平気か?」
「はい……ただ……」
高田君は片手で口元を押さえた。
「虫を見ると…吐き気が止まらなくて……」
…よほど怖かったんだろう。
高田君の顔は青ざめ、心なしかやつれているように見えた。
「そうか…一応聞くが、食べ物は選べそうか?」
轟君の言葉に首を横に振る高田君。
彼は数回轟君と言葉を交わしてから、ふらふらとした足取りで部屋の隅へと移動した。
轟君が私達の元に戻ってくる。
テーブルの前には私達女子が並んでいた。



