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それから数十分が経ったと思う。
「井原って大人しそうなのにけっこう芯があるよなー、怒らせたら怖いってよく言われんじゃね?」
「ほら、見てみ真彩ー、これは俺の動物フォルダの中でも一番オススメのやつで…」
「ステラガールズ、早乙女 愛梨に独占インタビュー!なぁ、聞きたいことあったんだけどさー」
「眼鏡くんの眼鏡いただきー!ねぇねぇ、俺けっこう似合うくね?」
「ほら、轟ぃー!笑えってば!かたいなぁー」
湯木君はこれが最後だと言わんばかりに、私達にスマホを向けて絡んでいた。
彼が元気に見えるのは、まだキノコの毒が回っていないから?
それとも………。
ほのかな期待が胸をしめていく。
あのキノコに、毒性はなかったのかもしれない。
そんな淡い期待。
もし、この期待が間違ってなければ湯木君は。
皆の顔に笑顔が戻っていく。
湯木君は…助かる、かもしれない。
私が…いや、私達全員がそう思っていたとき。
湯木君の様子が、徐々におかしくなっていった。



