「なにしても平凡でさー、空気とかよめねーしバカなことばっかやって大人に怒られるし、そんでふて腐れて学校も行かなくなって」
人差し指と親指が、キノコの軸をつまんだ。
「大好きだった親父は死んじゃって、嘘親と二人暮らしになって…家から出ようともしなくなって……毎日嘘親と口ゲンカばっかで」
ゆっくりとした手つきでキノコが持ち上がる。
「早く家から出ていきたくて…でも金ないし、配信者になれば手っ取り早く稼げるかなーとか思って始めたけど、それも当然うまくいかなくて」
頭上でキノコを掲げ、眺める湯木君の目元は、髪の毛に隠れて見えなかった。
「でも、今___めっちゃ嘘親に会いたいわ」
困ったように笑う湯木君に、私はなにか言おうと…言わなければと思い、口を開いた。
でも…うまく言葉がでてきてくれない。
湯木君が私を見た。
大きな瞳が細められる。
彼の目に、私はどんな表情で映っていただろう。
「俺、なに言ってんだか!なに言いたいか、イマイチまとまんねーや」



