そんなやり取りから数分が経った。
とても静かだ。
ただ食べ物を咀嚼する音だけが辺りを包んでいる。
皆が皿の上の食べ物を食べ進める中、湯木君だけは何も選ばず…じっとテーブルの近くで立ち続けていた。
「…えっと…湯木、君……?大丈夫…?」
気になって声をかけた。
「あー…うん、へーき」
湯木君はテーブルの一角を見つめたまま、そう返した。
残っている皿は…三つ。
トマトの皿と、ワイングラスが乗った皿…。
そして___。
湯木君の視線がとらえている物。
その先にある食べ物を察して、私は青ざめた。
「ゆっ…湯木君…?」
発した声が僅かに震える。
「まさか、それを選ぼうとしてないよ…ね…?」
湯木君の視線の先にある食べ物は…。
毒々しさを放つ…赤いキノコだった。



