「あった…!」


少しくすんできた白色のスマホカバー。

正真正銘、私のスマホだ。

電源を入れてみると、液晶パネルが光りホーム画面が映る。

充電もあるし、これならいつでも助けを呼べ…。

そこまで考えたときに、ある部分が目に入った。


「え…電波がない……?」


電波状態を示す箇所に×のマークがついている。


「あ、スマホ?俺のも電波なかったし、他のやつらのもそうじゃね?」


パーカーの男の子がさらりと言った言葉に、私はツバを飲み込んだ。

もしもこれが本当に誘拐とか…監禁とか。

そんな事件性を帯びたものだったら…外部に連絡も取れないということだ。


「分かりましたか?これはとても…かなりまずい状況かもしれないんですよ…早く助けを呼ばないと」


眼鏡の男の子が言い放つ。

その言葉に反応したのは愛梨ちゃんだった。


「ん~、そうかなぁ?」


愛梨ちゃんは指先を口元にあてながら小首を傾げて、可愛らしい声を辺りに響かせた。