「愛梨は…やめておく。今はまだ……食べられそうにない…」
それだけ言い残して、フラフラと部屋の隅に行ってしまった。
「…愛梨ちゃん…」
「井原も選べ…早乙女はデスポイントがついていないが、お前は違うだろう」
「…うん…」
轟君の言葉に小さく頷く。
私はテーブルを見渡し、その中からリンゴの乗った皿を手に持った。
私を待っていた真彩ちゃんと、テーブルの近くで一緒に座る。
「じゃあ…“いただきます”しようか」
すっかり恒例となった食事前の挨拶。
二人で手を合わせて声を揃えた。
『いただきます』
挨拶を済ませた真彩ちゃんが、パックからイチゴを一粒取る。
それを一口かじると、ようやく真彩ちゃんは口元を緩めてくれた。
「…ふふ、美味しい?」
「はい、甘くて美味しいです」
___よかった。
そう言って、私も自分の皿の上に手を伸ばす。
リンゴを手にして、かじりつく。
爽やかな甘味と酸味が口いっぱいに広がった。



