「えっと…フタ…ですかね?」


「そうじゃなくて、フタの中身のこと!なんか入ってそうなんだけど開かないんだよなー」


「はぁ……」


私とパーカーの男の子が話していると、少し離れた場所から眼鏡の男の子が声を出した。


「クローシュです」


私たちが眼鏡の男の子に視線を向ける。

男の子は片手で頭を押さえながら苛ついたように続けた。


「君たちが示している“銀色のフタ”のことですよ。正式名称はクローシュです」


「へぇー、頭いいじゃん眼鏡くん!」


「あの…少し黙っていて下さい。僕たち誘拐並びに監禁されているかもしれないんですよ」


誘拐、監禁___。

その言葉に私は息をのむ。

そう、だよね。

こんな知らない場所に、何も知らされず連れて来られるなんて絶対おかしい。

そういえば…鞄にスマホが入ってなかったっけ?

そう思って近くに落ちていた自分の鞄を拾い、中を探った。