「…こっちも開かないか…クソッ…」



後ろにあるドアの取っ手を摑み、ガチャガチャと上下に動かしている男の子。

たぶん外に出ようとしているんだろうけど、鍵が掛かっていて出られない様子だった。

ふと男の子が私の視線に気づき、眉を寄せる。


「……なに?」


「あ…い、いえ…すみません」


反射的に謝ってしまい、そのまま男の子から視線をそらす。

しばらくして男の子がいた方角から、再び取っ手を動かす音が聞こえてきた。

よく見るとドアは前方にもついている。

その途中…部屋の中央には白い横長のテーブルがあって、その上には高級レストランとかで料理に被せる銀色のフタみたいなのが置かれていた。


「なぁ、アンタさ。真ん中のアレ…ほら、銀色のやつ、なんだと思う?」


いつの間に横に来ていたのか。

私の隣でスマホを構えたまま、パーカーの男の子が話しかけてきた。

え…もしかして、撮られてる…?

そう思ってとっさに顔をそらした。