「轟君ってばやるね、カッコい~♡」
一部始終を見ていたらしい、愛梨ちゃんが華やいだ声をあげる。
「男気ってやつ?クールだし素敵かも~」
それにムッとした様子で長峰君が続いた。
「愛梨ちゃん、そのイカスミパスタ、俺に任せてよ!」
長峰君の言葉に愛梨ちゃんは困ったような笑みを浮かべる。
「え~?でもさすがに悪いよ~!」
「でもほら、フォークとかもないから手掴みで食わなきゃでしょ?愛梨ちゃんの手が汚れちゃうし、俺に任せてよ!そういうの気にしないから!」
「…ん~、そう?そこまで言ってくれるなら…お願いしちゃおうかなぁ~」
どうやら今回も、長峰君は愛梨ちゃんの分の食べ物を食べることに決めたらしい。
「愛梨のためにごめんね~、ありがと~ね~?」
手掴みで汚れた長峰君の手を、愛梨ちゃんが持っていたハンカチで拭いてあげている。
長峰君は嬉しそうにその光景を見つめていた。



