「……なんだ?」
「あ…えっと、その中身、なんだったのかなって」
話しかけられておどおどする私。
轟君は自分の持っているティーカップへと視線を移した。
そして淡々として口調で呟く。
「……醤油」
「えっ…?」
醤油…。
轟君、今そう言ったの?
醤油って一度にそんな量を飲んでも大丈夫なの…?
醤油単体なんて味わったことないから分からないけど、口の中とか気持ち悪いんじゃないかな…。
「あ、あの…よかったら、このコーヒー…口直しに飲みますか…?」
そう言って半分まで減ったペットボトルを轟君に差し出す。
「…は?」
再び視線が交わる。
初めて見る、きょとんとした顔の轟君。
そこで私は、自分の色々な失言に気づきハッとした。
手の中にはまだ、“飲みかけ”の“自分の皿の上にあった”ペットボトルがある。
「ご、ごめんなさい…!無理に言ってるわけじゃなくて飲みかけって忘れてて…!」
私は慌てて首を左右に振った。



