「そういえば…スピーカーで名前を読み上げられたときさー、一人だけ名前おかしくなかった?」
「え…?」
私は首をひねる。
すると湯木君と同じ疑問を持っていたのか、高田君が「あぁ…、確かに」と呟いた。
「先程、一名だけ名前の部分が読み上げられませんでしたね…確か苗字の方は___」
そのとき。
高田君の言葉を遮るようにドアノブの男の子が声を出した。
「轟」
全員の視線がドアノブの男の子に向かう。
男の子は面倒くさそうに、再度口を開いた。
「…轟だ。名前は別にいいだろ…それより、早く選ばないと時間切れになるぞ」
そう言い終わるや否や、男の子…轟君はテーブルのある中央へと進んでいった。
「あっ、ヤベ…今回から早い者勝ちだった!」
弾かれたように湯木君もそれに着いていく。
高田君も愛梨ちゃんも、真彩ちゃんも移動を始め、私も慌てて皆を追いかけた。



