これで残る自己紹介もあと二人になった。

湯木君が両方の指先をクルクルと回しながらこちらを見てくる。


「んで?次はどっちからいく~?」


チラリとドアノブの男の子を見てみた。

男の子は少し離れた場所で視線を逸らしている。

…先に、私から自己紹介した方がいいかも…?


「それじゃあ…私から」


小さく手を挙げると、真彩ちゃんが「頑張って下さい」と応援してくれた。

それに緊張が和らぎ、自然と声が出た。


「井原 彩、です。15歳で…えっと、とにかくこのゲームを頑張りたいと思います…!」


パチパチと拍手の音が白い部屋に鳴り響く。

き…緊張した…。

自己紹介を終えてホッとしたのもつかの間。


「…で、残るはあんただけなワケだけど」


湯木君の言葉で、場の雰囲気がどこか気まずいものに変わった。

残っているのはドアノブの男の子だけだ。

でも…自己紹介にあまり乗り気ではなさそう。

彼は不機嫌そうに視線を下に向けている。

言いたくないなら無理に言わなくても…そう言おうとした矢先、湯木君が思い出したように口を開いた。