「え、えっと…その、スマホ構えるのは…」


「え?なにぃー?」


「そ…その…」


私を撮るのを止めてほしい。

そう言いたいけど、上手く伝えられない。

スマホに撮られるのが恥ずかしい、なんて言ったら空気悪くしちゃうかな…?

そのとき。


「…自己紹介、まだ途中だろ」



湯木君と私の間に、ドアノブの男の子が割って入ってきた。

…もしかして、助けてくれた…?


「うわ、こっわ…ま、今は別にいーか」


ドアノブの男の子が放つ圧を感じたのか、湯木君はスマホを構えるのを止めてくれる。

ピリッとした空気が辺りを包んだ。


「ん~と…それじゃあ次は愛梨が自己紹介しよっかな~?」


場の空気を和ませようとしてくれたのか、今度は愛梨ちゃんが元気よく挙手をした。

愛梨ちゃんは顔の近くでハートマークを作り、可愛らしくウィンクをする。