『クローシュのロックを解除致します』


___今回の制限時間は一時間です。


その言葉と共に、スピーカーの音声がプツリと切れる。

開かれたクローシュの中には、部屋の色と同じ…白い食べ物が皿の上に置かれていた。

お茶碗に盛られた白米。

食パン二枚。

焼かれたお餅が三個。

殻付きの卵が二個。

手のひらサイズの白いチーズ。

そして後の二つは…白い、粉みたいなもの。

どちらもティーカップに山盛り盛られている。


「そんじゃ選ぶ前にぃ、まずは自己紹介ターイム!ってことで…言いだしっぺの俺からいきまーす」


片手をヒョイッと挙げながら、パーカーの男の子が声を出した。


「俺は湯木 ひろでーす。そのまま、“ゆぎひろ”って名前で動画配信者やってまーす」


「動画配信者?」


私の言葉に湯木君がスマホを構える。


「そっ、まだチャンネル登録者は1000人くらいだけどねー。ここから出たら動画検索してみてよ!」