「いただきます」


ランドセルの女の子が私の隣に座り、両手を合わせてきちんと挨拶をしているのが見えた。

礼儀正しい子だなと思いながら、それにつられて私も手を合わせた。


「…いただきます」


そう言って、ようやくマンゴーを手にして口へと運ぶ。

当たり前だけど、ちゃんとした味の…甘くておいしいマンゴーだ。

やっぱりこれは視聴者参加型のテレビ番組なんだろう。

部屋を移動して、食べ物を選んで食べる。

これと同じことを、あと六回するだけ。

そうすれば家に帰れるんだ。

そう考えるとようやく心が落ち着いてきた。



***


食べ物を食べ終えて、しばらく経った頃。

ザザザ…とスピーカーからノイズが流れた。

全員の視線がそちらを向く。


『一時間が経ちました。次の部屋への扉のロックを解除致します』


ガチャリ___。

部屋の奥にあるドアから音がする。


「…移動しろってこと…?」


私達がドアに近づくと、それに反応したかのようにドアは勝手に開いた。

その先にあった光景に目を丸くする。