「彩、帰ったら何かしたいことはある?」
運転席に乗ったお母さんが私を見た。
「え?…うーん…」
助手席に座り、シールドベルトを付けながら私は小さく笑った。
「お母さんの作った、ご飯が食べたいな」
全てがこれからだ。
全て、始まったばかりもいいところだった。
本当に私だけで、できるだろうか。
そもそもお兄さんに会えるかも分からない。
車が発進する。
段々と不安が胸を支配していく。
__彩。
ふと、彩斗君の笑顔が浮かんだ。
それだけで、ふわりと心が軽くなっていく。
「うん、頑張ってみるよ」
「ん?えー?彩、何か言った?」
お母さんが運転をしながら問いかける。
「___ううん、なんでも」
シールドベルトを強く握る。
…やってみせる。
これ以上、犠牲者を増やさないように。
その一心で。
私の…生還者の逆襲は、これから始まっていく。



