フード・デスゲーム


___とにかく、安心したかった。

それからは平静を保つように心がけている。

一日でも早く退院するために。



***



「井原さん、朝食をお持ちしましたよ~」


ふと、看護師さんが朝食の乗ったワゴンを運んできてくれた。

手際よくベッドに設置された台に朝食を置いていく看護師さん。


「ゆっくり食べてくださいね」


「はい、ありがとうございます」


そう言って去って行く看護師さんに頭を下げる。

台の上には、並んだ朝食。

白米と、焼き鮭、味噌汁、漬物と海苔とお茶。

私は箸を取ろうとして、やめた。

そのかわり、手と手を合わせて挨拶を口にする。


「…いただきます」


今日も一日が過ぎていく。

デスゲームなんて、全てが夢だったかのように思える日常がそこにあった。

それから、さらに数日が経ったときだ。


「…え?」


先生の言葉に私は驚いた。


「そろそろ彩さんも落ち着いてきたようですし、退院にしましょう」


平静を装う私の作戦がうまくいったのだろうか。

それとも、私が帰ることを強く希望していたからか。

退院の許可が、下りた。





***