「…な、んで……」
私は、私の胸に顔をうずめて泣きじゃくる真彩ちゃんを抱き締めたまま、ただ困惑していた。
……どうして?なんで…?
いくら時間が経っても、私に“死”が訪れない。
そのとき、スピーカーが鳴った。
パンパカパーン!
そんなふざけた音楽と共に。
『井原 彩様、おめでとうございます!あなたは隠されていた特別ルールのクリア条件を満たしました!』
特別ルール。
クリア条件。
真っ白な頭の中で、その言葉が繰り返し巡った。
はっきりいって、理解ができない。
私は今、なんで生きているの…?
なんで、彩斗君だけが血を流して倒れているの?
『それではフード・デスゲーム、特別ルールの内容をご説明いたします』
まるで私の脳内を覗いたかのようなタイミングで、スピーカーから音声が流れる。
その声は、聞き慣れた淡々とした声色ではなく、どこか興奮しているかのように聞こえて鳥肌が立った。
「あ、彩、お姉ちゃんっ…!よか、よかったぁ…!!」
泣きすぎて顔を真っ赤にしながら、なおも涙を流す真彩ちゃんを呆然と眺める。
どんな反応をすればいいか分からず、ただ真彩ちゃんをあやすように、その頭をなでていた。



