フード・デスゲーム



フード・デスゲーム。


その全容が終わり、仮面を被った司会者が現れる。


今回のデスゲームも、中々に見応えがあった。


まさか、あんな最後になろうとは。


私は画面の向こうで手を振る司会者、およびデスゲームの主催者へ向けて投げ銭をした。


次々と投げられるそれを見たのか、司会者がパチパチと拍手をしながら言葉を発した。


『おお、デスゲームを愛する同士の皆様、お気持ちをありがとうございます!』


この金銭は、今後のデスゲーム運用資金として加算される仕組みだ。


猛者の投げる金額と比べれば、私の投げ銭など桁違いすぎて恥ずかしいほどだが、何もしないよりはマシだろう。


『…おや?質問が届いておりますねぇ…何々?』


…質問か、珍しいな。


このデスゲーム専用に作られたチャンネルにも、一般的なネットと同じでコメント欄が存在している。


しかし、ここに集まる者は大抵がデスゲームを見ることが目的だ。


そのため、大体のコメントは『面白い』だの『つまらない』だのといった感想が多い印象で、読み上げるほどの物ではない。


今回もそうかと思ったが…違うらしい。


司会者はそのコメントを読み上げ始めた。


『えー…“消してもらいたい人間がいます、どうすればデスゲームで消してもらえますか?”…ふーむ、こちらはご新規の方ですかな?』


読み上げられたそのコメントに、私は鼻で笑う。


デスゲームの参加者、およびその決め方。


このシステムを知らないなんて、初心者もいいところだ。


しかし、当たり前であるところの質問にも、丁寧に司会者は答えなくてはいけない。


『ご説明いたしましょう!基本的にデスゲームの参加者は“様々な方法”でランダムに決められております。

よって、会員である皆様方が関与することは基本的にはできません!

しかし…!

紹介でのみ入れる通常会員様とは別の、もう一段階上の会員様…

“プラチナ会員”様には特別権限として参加者を決められる得点がございます!

コメント主様~、ぜひご検討を!』


そう、プラチナ会員。


それは凄まじい額の寄付をしなければなれない雲の上の存在。


ただし、プラチナ会員といえど決められる参加者は一人につき一人までだという。


余分に金を払えば参加者の枠を増やせるらしいが…そこは真偽が定かではない。


詳しい得点内容はプラチナ会員にのみ通達されるらしい。


『それでは皆様、次のデスゲームもぜひ見に来てくださいませ!次のデスゲーム、会員限定パスワードは___』


おっと、もう終わりの時間か。


司会者の口から聞こえるパスワードを、急いで手元のメモ紙に書き連ねる。


『それでは皆様、またお会いいたしましょう!』


配信が終わり、暗くなる画面。


デスゲームの記録は毎度残らず消去されるため、アーカイブで後から見るということもできないのが困り所だ。


中には歴史的なデスゲームも多々あるというのに。


「さて…コーヒーでも飲むかな」


私はパソコンを閉じて、何事もなかったかのように己の日常へと戻っていった。