フード・デスゲーム


そして、ようやく。


「よし、これで終わりだ!」


轟君が最後の一欠片を口に入れる。

これで真彩ちゃんの分のケーキは食べ終わった。


「次は井原の分だ、急ごう!」


「轟君のは!?」


「俺のは最後でいい!井原が先だ!」


全員クリームまみれの手を拭くこともなく、私の選んだ皿へ手を伸ばす。

真彩ちゃんの分だけで、どのくらい時間が経ったんだろう。

時計を見ることができないのがもどかしい。

再び同じ味のケーキを口に含む。

変わらない食感、変わらない甘さ。

段々と体が拒否反応を示し、吐き気に襲われる。


「……っ、……」


手が止まる。

口が動かない。

飲み込むことが、できない。


「井原、大丈夫だ無理をするな!」


轟君が手を休めることなく食べている。


「彩お姉ちゃんの分まで…私が頑張りますっ…!」


真彩ちゃんも必死にケーキを食べていた。

小さな口はクリームまみれになり、少しずつケーキは減っていく。

だけど、まだ残っている。

ホールケーキはまだ、1/3(さんぶんのいち)も減っていない。