「まず小上の皿から片付ける、それでいいか井原」
「うん!」
素早く返事だけを返して、両手を合わせる。
…これが最後かもしれない。
「___いただきます!」
でも、最後にするつもりはない…!
真彩ちゃんのケーキに手を伸ばす。
掴んだケーキは柔らかくて、ぐにゃりと形を変えた。
今回もスプーンやフォークの類はない。
食べにくいけど、両手にケーキをすくい取り口元へ運んでいく。
「大丈夫だ、全て食べなくてもさっきのルール通りなら2/3食べれば___」
轟君のコトバに反応するように、スピーカーが起動した。
『今回はお祝いの品のため、2/3のルールは適用されません。よって皿の上のケーキを全て食べきることができなければ脱落といたします』
___なによ、それ!
とってつけたような身勝手なルール。
それはそっちの事情でしょう!?
お祝いの品なんて頼んでいない…!
隣で、轟君が舌打ちをしたのが聞こえた。
頭にくるけど、とにかく今は食べなくちゃ…。
必死に口と手だけを動かす。
噛んで、飲み込んでをただ繰り返す。
“甘い”以外に味の感想なんて出てこなかった。



