待って。
待ってよ。
高田君はちゃんと食べたじゃない!
「た……高田君………」
私は…その場にいた全員が、青ざめた表情で高田君を見た。
高田君が吐いた物が、床を汚している。
その中には茶色の液体に交じり、フンが二つ吐き戻されていた。
高田君は一人、自分の吐いた後を見て、口元を緩めた。
目の前の事実を受け止めるかのように。
小さく、笑った。
「…はは、やはり僕には…ダメでしたね…」
そんなこと、ないよ。
そんなこと、なかったんだよ。
声にしたいのに、言葉が出ない。
喉の奥がキュッと締まって、何も言えない。
ドアから音がする。
いや、正確には前の部屋と繋がるドアの、上。
待って、待って、まって……。
お願いだから、待って。
「轟君、井原さん、小上さん…僕を褒めてくれてありがとう…ねぎらってくれてありがとうございます」
高田君が、感謝の言葉を連ねる。
彼は最後に愛梨ちゃんを見る。
それは絶望している愛梨ちゃんとは正反対の、穏やかな顔だった。



