フード・デスゲーム


愛梨ちゃんはぐるりと室内を見渡して、高らかに告げた。


「今日は愛梨のソロコンサートに来てくれてありがと~!」


今この場にそぐわない、明るい声が辺りを包む。

空気を読んだのか、真彩ちゃん一人が手を叩いて拍手を送っていた。


「あ…愛梨ちゃん…?」


私が声をかけると、愛梨ちゃんは返事の代わりにウィンクをする。

そして、高田君に向き直り口を開いた。


「何もないって言ってたよね」


「は…?」


「今さっきのこと。“勉強以外、興味を持てない”って言ってたよね?」


「……言いました、けど…それがなにか?」


愛梨ちゃんは人差し指を口元に添えて、小首を傾げた。


「…今から始める愛梨の生ライブ、最前列で見てて?高田君の“推し”になってみせるから」


高田君が目をぱちくりとさせる。

愛梨ちゃんは高田君の心臓へと指を差す。

そこにいたのは…紛れもなく。

キラキラと輝くアイドルの姿だった。



「愛梨が高田君の生きる理由になってあげる!」