こういうとき、よそ様はどんな感じなのだろう?
そんなことを、ふと疑問に思うときがたまにある。
「秋彦さん」
「なんだろう?」
「告白というか、懺悔など聞いていただいても?」
「もちろん。て、懺悔???」
やや驚きながら、彼が私のうなじにキスをする。
「そう、ですっ。罪を告白するあれで、す」
私は私で、くすぐったさに身をよじりながら話を続ける。
行為の最中に、私たちはとにかくよく話す。
初めて彼と“こういうこと”になったときは、けっこう衝撃的だった。
だって、ほんっとうにフッツーにガンガン話しかけてくるんだもん。
それは、いわゆる羞恥心を煽る感じでもなく。
対話をしながらコトが進んでいく感じというか。
「私、今日はもう、ずっと……っ」
(あぁっ……)
下へ下へと降りてくるキスに、甘ったるい声が出そうになる。
彼はといえば、意地悪な笑みを浮かべるでもなく、淡々と私の体を愛でながら、話の続き促してくる。
「ずっと、何?」
「だから……ずっと早く夜、にならないかなぁって、そればっかり考え、てました……以上です」
「おやまあ、それはそれは」
彼は決して呆れるでもなく穏やかに笑う。
「なんか、すみません……」
「どうして謝るの?」
不思議そうに問いかけながら、彼が粛々と私の衣類を取り去ってゆく。
「だって、ガツガツしているみたいで」
「でも、仕事はきっちりこなしてきたんでしょ?」
「それはもちろん」
そこははっきり答えつつ、上手に(?)どんどん脱がされてゆく。
「同じだね」
「え?」
「僕も、夜の“ご褒美”を楽しみに頑張ったから」
その言葉に素直にときめき胸がはしゃぐ。
(えっ、嬉しい、おんなじ!)
「さすがに四六時中そればかり考えていたわけではないので、鼻先の人参とは少し違うけど」
(むぅぅ、はしゃいだのに、浮かれ損?)
私はちょっと拗ねて、腕で目元を覆い隠した。
「やっぱりガツガツしてないじゃないですか」
「ガツガツしているから毎週末こんなことになっているんでしょうが」
「秋彦さんはいつも冷静できちんとしています」
「そうでもないよ」
「そうでもあるかと」
(あっ……)
瞬間、腕をひょいと退けられる。
静かだけれど甘い熱を帯びた瞳に見下ろされ、どきまぎと視線を泳がせるも逃げられない。
「まあ、冷静に見えているならよしよしかな」
「え?」
「僕は千佳さんに嫌われたり怖がられたりするのを一番恐れているわけだから」
私が知っている彼は冷静で紳士的で、なによりとても寛容だ。
彼の包容力はいつだって私を安心させて、その行為に没頭させてしまうのだから。
「秋彦さんを嫌うとか怖がるとか想像できないですけど」
「ありがとう」
彼は嬉しそうに微笑むと、おでこに優しいキスをくれた。
(秋彦さん……)
私はちょっと勇気を出して彼に問うてみることにした。
「あの……私って、秋彦さんに何か我慢を強いたりしてはいないでしょうか?」
彼と出逢う前の私は、正直そういった行為を積極的にしたい感じではなくて。
誤解を恐れずに言うなら、苦痛も含めて受け入れることが愛情表現だったというか。
彼はそうした私の価値観を根底から変え、ネガティブな体験の記憶を素敵なポジティブな体験で上書きしてくれた。
(秋彦さんが、私に最大限の思いやりをもって寄り添ってくれたから)
私にとって、今の状況はとても心地よく安定している。
一方で、彼にとってはどうなのだろう?
結果的に、私のために過度の緊張や慎重さを強いているのではないか、と。
「心配性だね、僕の彼女は」
彼は質問の意図を察してくれたようだった。
「我慢ということはないよ」
「そう、なんです……?」
「うん。ただまあ、慎重は慎重かな」
(やっぱり……)
「でも、これってたぶん千佳さんがどうとかいう以前の職業病的な部分がある気がして」
「職業病、ですか?」
「そう。医者あるあるではなく、あくまで僕が思うにという話なんだけど」
そんなことを、ふと疑問に思うときがたまにある。
「秋彦さん」
「なんだろう?」
「告白というか、懺悔など聞いていただいても?」
「もちろん。て、懺悔???」
やや驚きながら、彼が私のうなじにキスをする。
「そう、ですっ。罪を告白するあれで、す」
私は私で、くすぐったさに身をよじりながら話を続ける。
行為の最中に、私たちはとにかくよく話す。
初めて彼と“こういうこと”になったときは、けっこう衝撃的だった。
だって、ほんっとうにフッツーにガンガン話しかけてくるんだもん。
それは、いわゆる羞恥心を煽る感じでもなく。
対話をしながらコトが進んでいく感じというか。
「私、今日はもう、ずっと……っ」
(あぁっ……)
下へ下へと降りてくるキスに、甘ったるい声が出そうになる。
彼はといえば、意地悪な笑みを浮かべるでもなく、淡々と私の体を愛でながら、話の続き促してくる。
「ずっと、何?」
「だから……ずっと早く夜、にならないかなぁって、そればっかり考え、てました……以上です」
「おやまあ、それはそれは」
彼は決して呆れるでもなく穏やかに笑う。
「なんか、すみません……」
「どうして謝るの?」
不思議そうに問いかけながら、彼が粛々と私の衣類を取り去ってゆく。
「だって、ガツガツしているみたいで」
「でも、仕事はきっちりこなしてきたんでしょ?」
「それはもちろん」
そこははっきり答えつつ、上手に(?)どんどん脱がされてゆく。
「同じだね」
「え?」
「僕も、夜の“ご褒美”を楽しみに頑張ったから」
その言葉に素直にときめき胸がはしゃぐ。
(えっ、嬉しい、おんなじ!)
「さすがに四六時中そればかり考えていたわけではないので、鼻先の人参とは少し違うけど」
(むぅぅ、はしゃいだのに、浮かれ損?)
私はちょっと拗ねて、腕で目元を覆い隠した。
「やっぱりガツガツしてないじゃないですか」
「ガツガツしているから毎週末こんなことになっているんでしょうが」
「秋彦さんはいつも冷静できちんとしています」
「そうでもないよ」
「そうでもあるかと」
(あっ……)
瞬間、腕をひょいと退けられる。
静かだけれど甘い熱を帯びた瞳に見下ろされ、どきまぎと視線を泳がせるも逃げられない。
「まあ、冷静に見えているならよしよしかな」
「え?」
「僕は千佳さんに嫌われたり怖がられたりするのを一番恐れているわけだから」
私が知っている彼は冷静で紳士的で、なによりとても寛容だ。
彼の包容力はいつだって私を安心させて、その行為に没頭させてしまうのだから。
「秋彦さんを嫌うとか怖がるとか想像できないですけど」
「ありがとう」
彼は嬉しそうに微笑むと、おでこに優しいキスをくれた。
(秋彦さん……)
私はちょっと勇気を出して彼に問うてみることにした。
「あの……私って、秋彦さんに何か我慢を強いたりしてはいないでしょうか?」
彼と出逢う前の私は、正直そういった行為を積極的にしたい感じではなくて。
誤解を恐れずに言うなら、苦痛も含めて受け入れることが愛情表現だったというか。
彼はそうした私の価値観を根底から変え、ネガティブな体験の記憶を素敵なポジティブな体験で上書きしてくれた。
(秋彦さんが、私に最大限の思いやりをもって寄り添ってくれたから)
私にとって、今の状況はとても心地よく安定している。
一方で、彼にとってはどうなのだろう?
結果的に、私のために過度の緊張や慎重さを強いているのではないか、と。
「心配性だね、僕の彼女は」
彼は質問の意図を察してくれたようだった。
「我慢ということはないよ」
「そう、なんです……?」
「うん。ただまあ、慎重は慎重かな」
(やっぱり……)
「でも、これってたぶん千佳さんがどうとかいう以前の職業病的な部分がある気がして」
「職業病、ですか?」
「そう。医者あるあるではなく、あくまで僕が思うにという話なんだけど」



