どこかで菓子屋の陰謀(?)と思いつつ、無視できないのがバレンタイン。
ちなみに、私の彼はどちらかというとチョコレートはあまり食べないほう……。
シュークリームやチーズケーキはたぶん好きだと思う。あとは和菓子とかも。
ならば、別にチョコレートにこだわる必要もないのだろうけど。
なのに、どういうわけかチョコの呪縛から逃れられないバレンタイン……。
そこで、私は無い知恵を絞ったわけだけど――。
玄関のドアが開く音がして、忠犬よろしくいつものとおり駆けつける。
「おかえりなさい」
「ただいま。やっぱり遅くなってしまった」
くっつき虫の私を彼がきゅうっと抱きしめる。
「お鍋の用意できてますよ」
「うん。今夜は寒いから鍋が嬉しいね」
ダイニングテーブルでお鍋をつつきながら、今日の出来事などを語り合う穏やかな夕食。
いつものように食後のお茶を用意したところで、彼が何やら申し訳なそそうに“お土産”を出してきた。
「職場でいただいてしまいました」
叱られ待ち(?)の男の子みたいな表情に思わず頬が緩む。
「バレンタインて男性のほうが大変ですよね」
「感謝の気持ちをいただけるのは有難いというべきなのだろうけど。まあ、気は遣うね」
「秋彦さん、チョコレート少し苦手ですよね。よかったら私がいただいても?」
「どうぞどうぞ」
「じゃあ、食べさせてもらうからには、お返しも私が責任を持ってご用意しますね」
「助かります」
「なんか“妻ぶっている”みたいで恐縮てすけど」
「いや、本当助かるので。それに、妻ぶるも何も、ほぼほぼ妻だし?」
彼がくすりと笑い、私も嬉しくなってふふふと笑う。
「えーと。私もお渡ししたいものがありまして」
「うん?」
私は今日のために用意していた“とっておき”を差し出した。
「一応バレンタインにちなんで、です」
「開けてみても?」
「もちろん」
ベージュの包装紙に焦げ茶のリボンのシックなラッピング。
彼が丁寧にリボンをほどいて開いて出できたのは――。
「チョコレート???」
「と見せかけて、入浴剤です」
「おおー、これはこれは」
見た目はいかにもな高級チョコレート、だけど実はバスボムという。
「チョコレートなのは外見だけで、匂いもぜんぜんチョコじゃないんですよ」
「本当だ。お茶の香りって書いてある」
「シトラスティー、ホワイトティー、ミントティー、そんな感じだったかと」
「うん、いいね」
彼が楽しそうに、ちょっと大きめの“高級チョコ”をしげしげと眺める。
「今夜さっそく使っても?」
「もちろんです」
「よかったら、一緒にどう?」
(あ、先に言われた……)
「私から」
「うん?」
「お誘いするつもりだったのに、お風呂」
わざとちょっと恨めしそうに言ってみた。
「えー、だったらお誘いされたかったよ。やり直そう、はいどうぞ」
「そんな無茶な……」
彼が思い切り悔しがってくれたから嬉しくて。
「そのうちきっとお誘いしまよ、私から」
私はちょっとだけ期待させるようなことを言いつつ、にっこり笑った。
「とりあえず、今夜はご一緒に」
ちなみに、私の彼はどちらかというとチョコレートはあまり食べないほう……。
シュークリームやチーズケーキはたぶん好きだと思う。あとは和菓子とかも。
ならば、別にチョコレートにこだわる必要もないのだろうけど。
なのに、どういうわけかチョコの呪縛から逃れられないバレンタイン……。
そこで、私は無い知恵を絞ったわけだけど――。
玄関のドアが開く音がして、忠犬よろしくいつものとおり駆けつける。
「おかえりなさい」
「ただいま。やっぱり遅くなってしまった」
くっつき虫の私を彼がきゅうっと抱きしめる。
「お鍋の用意できてますよ」
「うん。今夜は寒いから鍋が嬉しいね」
ダイニングテーブルでお鍋をつつきながら、今日の出来事などを語り合う穏やかな夕食。
いつものように食後のお茶を用意したところで、彼が何やら申し訳なそそうに“お土産”を出してきた。
「職場でいただいてしまいました」
叱られ待ち(?)の男の子みたいな表情に思わず頬が緩む。
「バレンタインて男性のほうが大変ですよね」
「感謝の気持ちをいただけるのは有難いというべきなのだろうけど。まあ、気は遣うね」
「秋彦さん、チョコレート少し苦手ですよね。よかったら私がいただいても?」
「どうぞどうぞ」
「じゃあ、食べさせてもらうからには、お返しも私が責任を持ってご用意しますね」
「助かります」
「なんか“妻ぶっている”みたいで恐縮てすけど」
「いや、本当助かるので。それに、妻ぶるも何も、ほぼほぼ妻だし?」
彼がくすりと笑い、私も嬉しくなってふふふと笑う。
「えーと。私もお渡ししたいものがありまして」
「うん?」
私は今日のために用意していた“とっておき”を差し出した。
「一応バレンタインにちなんで、です」
「開けてみても?」
「もちろん」
ベージュの包装紙に焦げ茶のリボンのシックなラッピング。
彼が丁寧にリボンをほどいて開いて出できたのは――。
「チョコレート???」
「と見せかけて、入浴剤です」
「おおー、これはこれは」
見た目はいかにもな高級チョコレート、だけど実はバスボムという。
「チョコレートなのは外見だけで、匂いもぜんぜんチョコじゃないんですよ」
「本当だ。お茶の香りって書いてある」
「シトラスティー、ホワイトティー、ミントティー、そんな感じだったかと」
「うん、いいね」
彼が楽しそうに、ちょっと大きめの“高級チョコ”をしげしげと眺める。
「今夜さっそく使っても?」
「もちろんです」
「よかったら、一緒にどう?」
(あ、先に言われた……)
「私から」
「うん?」
「お誘いするつもりだったのに、お風呂」
わざとちょっと恨めしそうに言ってみた。
「えー、だったらお誘いされたかったよ。やり直そう、はいどうぞ」
「そんな無茶な……」
彼が思い切り悔しがってくれたから嬉しくて。
「そのうちきっとお誘いしまよ、私から」
私はちょっとだけ期待させるようなことを言いつつ、にっこり笑った。
「とりあえず、今夜はご一緒に」



