「この、小さくて丸い金属の中に、大切な家族の写真を入れるんだよ」
「しゃしん…?」
「人間が作った、瞬間を切り取るものさ。思い出をその中に閉じ込めることができるんだ…ほら、ここにもきっとあるはずだよ」
妖精がペンダントの突起を押すと、中に入った写真が出てきました。
若い女の人が、小さななにかを大事そうに抱えて、笑顔で写っています。
「これは、この“ぺんだんと”を落としたにんげんの、家族なの?」
「ああ、そうだよ。人間にも家族がいるのさ」
「このひとが手にしているのはなに?すごく小さいけれど、生き物なの?」
「それは“赤ん坊”と言うんだよ。人間の子供は生まれると、こうやって親に守られながら育つんだ」
ララティーナは、首をかしげます。
どこかで最近、この赤ん坊とよく似たなにかを見た気がするからでした。
「そうだわ、思い出した…」
ラティーナは妖精の手を取り、ある一方向を指差しました。
それは昨日、人間らしき影がしゃがみ込んでいた方向です。



