人魚と妖精



「あれは…いったいなにをしていたの?」


影が去った場所には、カゴの中でうごめく小さな生き物がいるようです。

ラティーナは、その光景を最後までじぃっと見ていました。



***



やがて夜が明け、日が昇ると、ラティーナは泳いで昨日と同じ場所を目指しました。

浜辺に辿り着いたころには、太陽が真上を照らしていていましたが、妖精の姿はありません。


「どこにいるのかしら?」


ラティーナが辺りを見渡していると、森の奥から昨日と同じように妖精が現れました。


「ああ、本当に来たんだね、人魚の子」


妖精はラティーナに近づき、砂浜に膝をつきました。


「それで、キミが言っていた人間の落とし物というのはなんだい?」


「これのことよ」


ラティーナは手に持っていた金属の“なにか”を妖精に差し出します。

それは、小さな丸い金属に、ジャラジャラとした同色の金属がついていました。

妖精はそれを受け取るなり「これはペンダントというものだね」と呟きました。


「ぺんだんと…?それはいったい、なに?」


その問いかけに、妖精は静かに答えます。