「あなたにどうしても聞きたいことがあるの」
「聞きたいこと?」
妖精が振り返り、ラティーナを見つめました。
「幼いころに、深海で見つけた物があるの。きっとにんげんの持ち物だと思うのだけど…こんな物よ」
ラティーナが指で、砂浜に絵を書きます。
だけど丸に輪っかがついているだけのその絵を見ても、何も分かりません。
妖精が首をかしげたのを見て、ラティーナはこんな提案をしました。
「そうだわ、私、また明日もここに来るわ」
「それはいけないよ、危ないからね」
「明日は絵じゃない、本物を持ってきてあなたに見せるから!それがなんなのか教えてくれたら、もうここには来ないわ。約束するから」
妖精はしぶい顔をしましたが、ラティーナがあまりにも必死になってお願いするので、ついその提案に頷いてしまいました。
「分かった、だけど明日だけだよ人魚の子」
妖精の言葉にラティーナは嬉しそうに笑って、その日は嵐で荒れた海へと帰っていきました。



