人魚と妖精


それからしばらく泳ぎ続け、ようやく島の近くにある浜辺が見えてきたとき。

ラティーナは空中を舞うように飛んでいるなにかを見つけました。


「キラキラしていて美しいわ、あなたは誰?」


“美しいなにか”は上下左右にふらふらしながら、ラティーナと同じ、浜辺のある方へと飛んでいきます。


「待って、待ってちょうだいな」


追いかけるようにラティーナも泳いで浜辺へ向かいました。

その目は美しく空を舞う“美しいなにか”に釘付けです。

浜辺までもう少しといったとき、突然ラティーナの動きが止まりました。

尾びれにごわごわとした“なにか”絡みついたのです。


「これはなに?なぜ動けないの?」


必死に尾びれを動かしますが、“ごわごわのなにか”は動けば動くほどにラティーナを絡めとりました。


「ああ、どうしましょう」


戸惑うラティーナ。

そうしている間に、“美しいなにか”は島の浜辺の奥にある森へ消えていきました。