人魚と妖精


「ああ、ぼうや…恐い思いをさせてごめんなさい」


女の人は泣きながら“あかんぼう”に頬をすり寄せます。


「だけどぼうやのおかげで、無事に村の皆がこの冬を越せるわ…ありがとう、ありがとう…」


すっかり泣き止んだ“あかんぼう”は、母親の腕に抱かれて穏やかに笑みを浮かべていました。


___ああ、よかった…。


笑顔を見せる“あかんぼう”に、ラティーナは胸をなで下ろしましたが、すぐに自分の置かれた状況に気づいて恐ろしくなりました。

にんげんに、捕まってしまったからです。


「ねえ、にんげんさん。私はこれからどうなってしまうの?」


近くにいたにんげんに問いかけました。

にんげんは悲しそうに目を伏せながら、こう答えます。


「さあ…お前を売り飛ばしたその後どうなるのか、俺たちも知らないんだよ」


その言葉に、ラティーナの目から涙が零れました。

___あの島に近づいてはいけない。


___“あかんぼう”に近づいてはいけない。


人魚の皆や妖精の言葉を守っていれば。

ラティーナの心に後悔が広がっていきました。

そんなときです。