先輩の声を逃さず拾えるように、全神経を耳に集中させる。
友達のほうが言う。
「何で今日はカフェ・オ・レ?」
それ!
私も知りたい!
「はっはーん。さては、いつものカフェ・オ・レの1年女子に今日は会えなかったから淋しくてだろ?」
「そうだけど、大きい声で言わないでくれよ」
「お腹壊す前に声かけてみたら?」
「分かってる」
カフェ・オ・レの……1年女子……?
まさか、と思いつつも、胸が早鐘を打つ。
カフェ・オ・レを買う1年女子なんて、ほかにいても不思議じゃない。
だけど、いつも会うのに今日は会えなかった⁇
それって……
「明日。もし明日会えたら声をかける!」
「おっ!」
先輩はどんどん遠ざかっていく。
やがて友達のほうのハシャぐ声すらも聞こえなくなった。
明日……
どうか、明日は授業が時間通りに終わりますように!
END



