昼休みの渡り廊下。
 私と結奈、真梨香の3人はパタパタと駆けていた。

「菜月まで走らせてごめん!」
「菜月は自販機でカフェ・オ・レ買うだけなのにね。でも、急がないと惣菜系のパンは売り切れちゃって、甘いパンしか買えなくなるから……」

 結奈と真梨香は謝りながらも、進行方向だけを一心に見つめている。

「いいの、いいの。授業が延長したのが悪いんだし、気にしないで」

 それに、内緒にしているけれど、実は私にも急ぎたい理由があるのだ。

 私たちはいつもお昼を一緒に食べている。
 私だけ家からお弁当を持ってきているが、購買にも一緒に行くことにしている。
 そうして、ふたりがパンを買っている間に、私は自販機で紙パックのカフェ・オ・レを買う。

 だって、お昼を食べ終えたあとも、昼休みが終わるギリギリまでおしゃべりは続くから。
 そのときに飲むためだ。