夏休みに入って、とうとう私はキレた。

「毎日毎日くっだらないケンカばっかり、いい加減にして!」

 この春、憧れだった第一志望の高校に進学することができた。
 おしゃれな制服に緩い校則。
 私はこれから楽しい世界に飛び込むのだと思った。

 けれど、いざ入学してみると、思い描いていた高校生活とはずいぶんと様子が違った。
 授業の進度が速く、来る日も来る日も予習復習予習復習……

 夏休みの宿題だって、この通りどっさり出された。
 だというのに……

「うるさくて、勉強に集中できない!」

 私が夏休みの宿題をしている横で、小学生の弟ふたりがケンカをするのだ。
 それも1日のうちに何度も!

「もう! お母さんからもふたりに言ってよ。私の邪魔をするなって」
「……お姉ちゃんが図書館で勉強したらいいんじゃない?」

 ふたりを静かにさせるより、私を追い出すほうが簡単だと判断したらしい。

「何それ……」

 想像した。
 静かな学習室で集中して勉強する高校生──

 カッコいいかもしれない。