◯芥見家つむぎの部屋
つむぎ「恋恋ちゃん!私決めました!」
恋恋(…。つむぎちゃん…。いくら僕が夜行性だからって、何時だと思ってるの?)
部屋の時計は午前3時を過ぎている。
つむぎ「だって、恋恋ちゃんとお話しできるなんて、そんな素敵な奇跡が起こるだなんて誰も思わないじゃん!」
眼を輝かせ、鼻息荒く、つむぎが答える。
恋恋(まぁ、僕も嬉しいけど…。明日も学校でしょ?寝なくて大丈夫?)
つむぎ「明日は祝日でお休みでーす!」
恋恋(それならいい、のか?それより話それちゃってたけど、何を決めたの?)
つむぎ「そうそう!恋恋ちゃんの名前を改名します!」
恋恋(改名?名前変えちゃうの?)
つむぎ「そう!ペットショップのお兄さんに聴いたら女の子っていうから「恋恋」って名前にしたけど、男の子と判明したので、改名しようと思います!」
恋恋(てか、つむぎちゃん、僕のことメスだと思ってたの?ちょっとショック…)
頭を項垂れる恋恋。
つむぎ「わ、わ、ご、ごめんね!」
慌てて謝罪するつむぎ。
つむぎ「お詫びの気持ちから素敵な名前を考えたから許して!」
恋恋(まぁ、いいけど、名前何にするの?)
つむぎ「良くぞ聴いてくれました!」
つむぎ「命名『恋』(レン)くん!」
筆で大きく『恋』と書かれた紙を広げながら話すつむぎ。
恋恋(『恋』…。恋の字を一文字減らして「レン」か…)
恋(素敵な名前だけど、6年も『恋恋』で呼ばれているから、慣れるのに時間かかりそう…)
つむぎ「でも『恋恋』ちゃんは女の子設定でつけちゃったから、ちゃんと男の子の名前にしたいなって思ったの」
恋(つむぎちゃんらしい優しさだね。…。なんだか気に入ってきたよ)
にこりと笑う恋。
つむぎ「よかったぁ」
喜ぶつむぎを優しい眼で見守る恋。
恋((…。しかし、昨日の出来事はなんとか誤魔化せたからよかった))
◯恋の回想
恋(僕はつむぎちゃんより早く家に戻るために必死で走った)
恋「はぁ、はぁ…」
恋(つむぎちゃん、どこかに立ち寄ってるみたいだな…。助かった)
神社の鳥居に着き、肩で息をする恋。
恋(あとはここからどうやって気付かれずに部屋に戻るか…)
恋は境内を見渡し父の存在を確認する。人影はない。
恋(しめた!今のうちに家まで走る!)
自宅の玄関に到着する恋。
恋(はぁ、はぁ…。玄関のドアは開いている…。)
ガチャリとドアを開けて中の様子を伺う恋。
恋(鍵がかかっていないということはママさんはいるな…)
そーっと、家の中に入り、足音を立てないように浴室に向かう。
恋(キッチンからは音がする…。ママさんはいま夕飯の支度中か)
脱衣所に入り、静かにドアを閉める恋。
恋(ふぅ…つくづく運がいいな…)
恋はつむぎのジャージを脱ぎ、洗濯カゴに放り込む。
トントン。脱衣所のドアを叩く音。
母「つむぎ、帰ったの?」
恋(まずい!知らない裸の男が自宅にいる=絶対通報!part2!!)
裸の状態で慌てふためく恋。
蛇神(水は操れても、己の身体は言うことを聞かないか)
恋の頭の中に直接話しかけるように蛇神の声が響く。
恋(蛇神様!)
蛇神(蛇のように見、聴き、嗅ぎ、味わい、感じる…。どれ貸してみぃ)
恋(!!!)
自分の身体が何かに干渉されているような状態になる恋。恋の身体は蛇の姿に変わる。
母「つむぎ?開けるわよ?」
脱衣所には誰もいない。
母「あれ?気のせいかしら…」
ニョロニョロ…。蛇に戻った恋が床を這う姿に気づく母。
母「あっ、恋恋ちゃん、また脱走したの?」
優しく微笑みながら、両手で恋を掬い上げる母。
母「つむぎのお部屋に戻してあげるね」
恋を抱えて、2階のつむぎの部屋に向かう母。
恋(ふぅ…。間一髪だった…。)
安堵する恋。
母「もう、恋恋ちゃんが脱走しないように気をつけてっていつも言ってるのに…」
呆れたように独り言を呟き、水槽に恋を戻す母。
母「いつもつむぎを見守ってくれてありがとうね。これからもよろしく」
恋に向かって笑顔で話し、その場を後にする母。
恋(…)
去り行く母の背中をじっと見つめる恋。
◯芥見家つむぎの部屋
恋((あの時は無事、つむぎちゃんには悟られずに部屋に戻れてよかった…))
つむぎ「ふわぁ〜…。」
口を手で隠しながら大きなあくびをするつむぎ。
恋(もう寝たら?明日もお話できるよ?)
つむぎ「えぇ〜…。確かに眠くなってきたけど…」
不満そうに話しながらもうたた寝をするつむぎ。
恋(つむぎちゃん、寝てるよ…。仕方ないなぁ…)
人間の姿になり、布団を首元まだ掛け直す恋。じっとつむぎの寝顔を見つめる。
◯恋の回想
恋(つむぎちゃんに近づいてきたあの『飯原』という男を見た時、頭に血が上ったような感覚があった)
恋(記憶が定かじゃないが、水で溺れるように苦しむ『飯原』を後ろから殴りつけた)
飯原「ぐはっ!」
恋(次の記憶では顔面血だらけの『飯原』の上に馬乗りになっているシーン…)
恋「僕の世界から消えろ」
恋(とどめの一発を顔面にお見舞いした)
◯芥見家つむぎの部屋
恋(今まで感じたことのない感情だった…)
胸に手を当て、あの時の感情について考える恋。
恋「誰にも渡さない…」
眉間に皺を寄せ、厳しい表情を浮かべる恋。
恋「やっと、つむぎちゃんを手に入れられる能力(ちから)を手にいれたんだよ…」
つむぎの寝顔を見つめながら、決意を固めたように話しかける恋。
第五話「かの蛇、娘を人にはたぐまじと、 かたくなに 心に 思ひ定めたり」終わり
つむぎ「恋恋ちゃん!私決めました!」
恋恋(…。つむぎちゃん…。いくら僕が夜行性だからって、何時だと思ってるの?)
部屋の時計は午前3時を過ぎている。
つむぎ「だって、恋恋ちゃんとお話しできるなんて、そんな素敵な奇跡が起こるだなんて誰も思わないじゃん!」
眼を輝かせ、鼻息荒く、つむぎが答える。
恋恋(まぁ、僕も嬉しいけど…。明日も学校でしょ?寝なくて大丈夫?)
つむぎ「明日は祝日でお休みでーす!」
恋恋(それならいい、のか?それより話それちゃってたけど、何を決めたの?)
つむぎ「そうそう!恋恋ちゃんの名前を改名します!」
恋恋(改名?名前変えちゃうの?)
つむぎ「そう!ペットショップのお兄さんに聴いたら女の子っていうから「恋恋」って名前にしたけど、男の子と判明したので、改名しようと思います!」
恋恋(てか、つむぎちゃん、僕のことメスだと思ってたの?ちょっとショック…)
頭を項垂れる恋恋。
つむぎ「わ、わ、ご、ごめんね!」
慌てて謝罪するつむぎ。
つむぎ「お詫びの気持ちから素敵な名前を考えたから許して!」
恋恋(まぁ、いいけど、名前何にするの?)
つむぎ「良くぞ聴いてくれました!」
つむぎ「命名『恋』(レン)くん!」
筆で大きく『恋』と書かれた紙を広げながら話すつむぎ。
恋恋(『恋』…。恋の字を一文字減らして「レン」か…)
恋(素敵な名前だけど、6年も『恋恋』で呼ばれているから、慣れるのに時間かかりそう…)
つむぎ「でも『恋恋』ちゃんは女の子設定でつけちゃったから、ちゃんと男の子の名前にしたいなって思ったの」
恋(つむぎちゃんらしい優しさだね。…。なんだか気に入ってきたよ)
にこりと笑う恋。
つむぎ「よかったぁ」
喜ぶつむぎを優しい眼で見守る恋。
恋((…。しかし、昨日の出来事はなんとか誤魔化せたからよかった))
◯恋の回想
恋(僕はつむぎちゃんより早く家に戻るために必死で走った)
恋「はぁ、はぁ…」
恋(つむぎちゃん、どこかに立ち寄ってるみたいだな…。助かった)
神社の鳥居に着き、肩で息をする恋。
恋(あとはここからどうやって気付かれずに部屋に戻るか…)
恋は境内を見渡し父の存在を確認する。人影はない。
恋(しめた!今のうちに家まで走る!)
自宅の玄関に到着する恋。
恋(はぁ、はぁ…。玄関のドアは開いている…。)
ガチャリとドアを開けて中の様子を伺う恋。
恋(鍵がかかっていないということはママさんはいるな…)
そーっと、家の中に入り、足音を立てないように浴室に向かう。
恋(キッチンからは音がする…。ママさんはいま夕飯の支度中か)
脱衣所に入り、静かにドアを閉める恋。
恋(ふぅ…つくづく運がいいな…)
恋はつむぎのジャージを脱ぎ、洗濯カゴに放り込む。
トントン。脱衣所のドアを叩く音。
母「つむぎ、帰ったの?」
恋(まずい!知らない裸の男が自宅にいる=絶対通報!part2!!)
裸の状態で慌てふためく恋。
蛇神(水は操れても、己の身体は言うことを聞かないか)
恋の頭の中に直接話しかけるように蛇神の声が響く。
恋(蛇神様!)
蛇神(蛇のように見、聴き、嗅ぎ、味わい、感じる…。どれ貸してみぃ)
恋(!!!)
自分の身体が何かに干渉されているような状態になる恋。恋の身体は蛇の姿に変わる。
母「つむぎ?開けるわよ?」
脱衣所には誰もいない。
母「あれ?気のせいかしら…」
ニョロニョロ…。蛇に戻った恋が床を這う姿に気づく母。
母「あっ、恋恋ちゃん、また脱走したの?」
優しく微笑みながら、両手で恋を掬い上げる母。
母「つむぎのお部屋に戻してあげるね」
恋を抱えて、2階のつむぎの部屋に向かう母。
恋(ふぅ…。間一髪だった…。)
安堵する恋。
母「もう、恋恋ちゃんが脱走しないように気をつけてっていつも言ってるのに…」
呆れたように独り言を呟き、水槽に恋を戻す母。
母「いつもつむぎを見守ってくれてありがとうね。これからもよろしく」
恋に向かって笑顔で話し、その場を後にする母。
恋(…)
去り行く母の背中をじっと見つめる恋。
◯芥見家つむぎの部屋
恋((あの時は無事、つむぎちゃんには悟られずに部屋に戻れてよかった…))
つむぎ「ふわぁ〜…。」
口を手で隠しながら大きなあくびをするつむぎ。
恋(もう寝たら?明日もお話できるよ?)
つむぎ「えぇ〜…。確かに眠くなってきたけど…」
不満そうに話しながらもうたた寝をするつむぎ。
恋(つむぎちゃん、寝てるよ…。仕方ないなぁ…)
人間の姿になり、布団を首元まだ掛け直す恋。じっとつむぎの寝顔を見つめる。
◯恋の回想
恋(つむぎちゃんに近づいてきたあの『飯原』という男を見た時、頭に血が上ったような感覚があった)
恋(記憶が定かじゃないが、水で溺れるように苦しむ『飯原』を後ろから殴りつけた)
飯原「ぐはっ!」
恋(次の記憶では顔面血だらけの『飯原』の上に馬乗りになっているシーン…)
恋「僕の世界から消えろ」
恋(とどめの一発を顔面にお見舞いした)
◯芥見家つむぎの部屋
恋(今まで感じたことのない感情だった…)
胸に手を当て、あの時の感情について考える恋。
恋「誰にも渡さない…」
眉間に皺を寄せ、厳しい表情を浮かべる恋。
恋「やっと、つむぎちゃんを手に入れられる能力(ちから)を手にいれたんだよ…」
つむぎの寝顔を見つめながら、決意を固めたように話しかける恋。
第五話「かの蛇、娘を人にはたぐまじと、 かたくなに 心に 思ひ定めたり」終わり
