異世界から帰った勇者アレスは母校の医学部棟にある図書室に足を運んでいた。
 すると棚に変わったタイトルの英文本が置いてあった。分厚い本だ。

 どれどれ、発行は……英国アカデミー。えらい省庁が出した本だな。
 パラパラとめくってみると、いつしか専門外の本なのにのめり込んでいた。

「こ、これは面白い! せっかくだから紹介してみよう」

 彼は臨時で講座を任されており、いいネタが出来たとまさかの医学部で披露してしまった。
 異世界帰りの彼にとっては学生たちの前で90分間も専門を講義するというのが性に合わず、こういったネタを話すのが好きだった。

・・・・・
・・・・・


【カメの謎】

カメ・ワニ・トカゲ類。
この三種類は隕石落下など環境変化の影響を受けずに現代まで居る爬虫類です。

恐竜達が絶滅したほどなのに同じ様な爬虫類は何故か生き残っています。

特にカメの祖先は、ある時代に突然、
今の形態を持ったものが出現していますので、進化の謎の象徴です。

カメの初代を現代のカメと比較して見ると、
形態の違いは、

歯が有る事、
手足が引っ込めれなかった事

……だけです。

全く変わっていないと言えるレベル、素晴らしい生物の世界!!!

カメはどうして変化しなかったのでしょう?
また、何故突然現れたのでしょうか。

シーラカンスの進化しなかった理由もそこにあるかもしれませんネ。
研究の余地は沢山有ります。

巨ガメ目撃例

・1956年、14mもの海ガメをイタリア汽船が目撃、
記録を残しているそうです。妙に細かい数字ですネ。

・もっと有名な話では、島と思って上陸して焚き火を始めたら、
カメの甲羅だったという。
熱さに驚いたカメは、突然動き始めて泳ぎ去ったそうです。凄すぎです。

昔のアーケロンでも4mほどです。
4mといっても、小さくはありません。

カメの場合、甲羅も有りますし、丸っこいですから凄く大きいものですよ。

・・・・・
・・・・・

子供の頃によく読んでいた図鑑の話。
マッコウクジラと巨大なダイオウイカの格闘場面が図鑑のイラストでありました。
これは2000mや3000の深海で行われているといいます。
なぜ肺呼吸のクジラがそんなに深く潜れるのか?
理由は頭にある大量の油。比重の差で油はオモリになるのです。



一方、浮上する時は、海水を鼻から吐き出し、
血液を送って暖めて比重を軽くし”浮き”の役割をさせます。

ダイオウイカなどの巨大な軟体動物は、
自身の遊泳力だけでは体を支えきれない事が多く、
海底へ沈降していってしまいます。

体の中を海水と同じ密度にして(主にアンモニア)、
海水と吊り合わせて浮いているのですが
素早い動きが出来ない、そういった巨大生物を捕らえて食べる為に、
肉食のマッコウクジラに備わった能力と思います。

一般のクジラ・シロナガスクジラなどはプランクトンを食べる為、
わりと表層を遊泳しています。
シャチもわりと表層の魚を食べています。

マッコウ君は呼吸を1時間も止めれるそうですよ。

ちなみにゾウアザラシは繁殖期以外は殆ど海に住んでいるそうですが、
近年の研究によって2時間の呼吸止め、深度2,000mまで潜っていた事が
追跡装置のデータから分かりました。

泳ぐスピードがマッコウクジラよりも遅いため、
2時間潜水と多く時間が掛かっています。

この研究は日本を中心に行われているそうです。知らなかった!

【マッコウクジラから得る知識】

体に豊富な脂がある?

猟師さんが海で見かけた大きな動物の目撃報告に「すっと潜って行った」、
「石が沈む様に潜って行った」などという表現が多くあります。

その正体は怪物だったとしてもマッコウクジラのような油が体に豊富に存在し、スムーズに潜めるのかもしれませんね。
油タップリというのは頭に油が詰まったマッコウクジラの特徴です。



マッコウの頭部先端に有る丸いのは、前庭嚢(ぜんていのう)といって特殊器官です。

餌を気絶させる音波とかを出しているんじゃないか? などと説がありますが、マッコウクジラだけに見られるトッテモ不思議な器官。

人類の長い間、ロウソクや電球が発明される前は、クジラの油に火をつけたランプが夜の生活には欠かせませんでした。捕鯨は、食用のほかに、この様な重要な理由がありました。

王侯貴族の豪邸には、まだトイレはなく、もっぱら庭で
そのランプを持って用を足したとの事デス
(エリザベス女王やマリーアントワネットも……)。

スイッチを入れれば明かりが付く時代までは、
1頭でたくさんの油が取れるマッコウクジラは、
かなりの高値だったようです。

明かりが電気に代わると、捕鯨の重要性は食料だけになり、
それなら他のものでも充分な為捕鯨が縮小されて行きました。

メル・ヴィルの名作「白鯨(モビー・ディック)」は、
巨大な白いマッコウクジラが主人公でした。



1921年アラスカで水揚げされたマッコウクジラ。
約50トン。体長21.6mだったらしい。

昔の測定は、体に沿って湾曲して測っていたケースもあり、
正確でないものも有ります。

怪物じゃなくても、迫力ありまくり。

日本始め、世界各国で打ち上げられるマッコウクジラ。
集団自殺の正確な原因は判っていませんが、
原因が判らなくても現実に起こります。

海に戻しても再度戻ってきちゃったりして、また打ち上げられます。

砂浜を目指すだけに方向感覚は狂っていない訳ですが、
どうしてなのでしょうね。

<マメ知識>

クジラの年齢の測り方:肉食である歯クジラ類はマッコウクジラをはじめシャチがいますが、年齢を計る場合には徐々に成長する”歯”の断面の層を調べます。年輪のように1年に一筋の層ができるので、それを数えて推測するとの事です。

一方、歯のないプランクトン食のヒゲクジラ類にはシロナガスクジラやザトウクジラ、日本近海に馴染みのあるコクジラが有名ですが、彼らには歯がないので、目の後ろにある耳、その中にある塊(耳石という)の年々積み重なって出来る層を数えます。

シロナガスでは120年を超える人間並み以上の長寿を誇っているそうですよ。

【クジラの体重はどうやって測るの?】

シロナガスは世界最大記録が体長33.58m、体重が約190~200トンとされています。

体をいっぺんにハカリに乗せることが出来ないので、肉塊を切ってそれぞれを計り、流出して損じた血やリンパ液などを5~6%として差し引いて導き出します。

↓ 国立高知大学海洋生物研究所(当時)に配備されていた潜航艇。
 出張時に見つけて乗れなかったけどスケッチ。格好良かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カメが突然地球上に現れた事実とマッコウクジラの破壊力。
これはエッセイでいいのでしょうか。文芸・歴史?
当時作った原稿をたくさん持っています。
画像は編集部さんが使用料を払ってくださいましたが未使用。
需要があるかどうかを確認するために投稿しました。
寧ろ需要があったら怖い気もしますが、宜しくお願いいたします。